チューリング完全あくあたん

チューリング完全あくあたん

この記事はあくあたん工房 Advent Calendar 2021の15日目です.

チューリング完全とは?

ある計算システムがチューリング完全であるとは,万能チューリングマシンと同じ計算能力を持つことを指します.万能チューリングマシンはチューリングマシンを模倣できるチューリングマシンであり,現在のどんな計算機が解ける問題でも解くことができると考えられています.

あるシステムがチューリング完全かを判定するのは難しい問題になるため,チューリング完全であることがすでに判明しているシステムの模倣ができる場合,そのシステムもチューリング完全であると言えます.

水槽カメラ昇降パターン

あくあたん義体はレールの上のマーカー(位置)を読み取って水平方向に進むことができます.また,レールの位置上でカメラの垂直方向を昇降させることができます.レールの位置はあくあたんbotからの指令により移動させることが多いですが,カメラの昇降については指令を飛ばすことが少なくなっています.そこで,カメラの昇降については,ランダムに近いけれども特定のルールを利用した動作をさせたいと思います.

レールの位置には1ビットの情報が付与できるものとします.あくあたんは位置上でカメラ垂直方向を上下させることができますので,ここではある位置において,カメラを1段上昇させるなら1,1段下降させるなら0とします.この情報をカメラ昇降パターンと呼びます.あくあたんはこの情報を使って,その位置を踏んだときにカメラ垂直位置を変更します.

各位置での昇降動作を初期状態としてあくあたんに教えることができます.

水槽カメラ昇降パターン更新規則

さて,このままではいつも同じ位置で上下するだけで面白くありません.
そこで,あくあたんが水槽の一番左か右(位置0か16)に到達した時点で,カメラを昇降させるパターンを変更したいと思います.

このパターンの変更は,各位置において,左右両隣の位置の状態に応じて変更するようにします.そうすると,次のような遷移表を書くことができます.3ビットの真ん中が当該位置であり,左右と自分自身の値に応じて,自分自身の変更後の値が決まります.

変更前(左,自身,右) 変更後
0, 0, 0 x, 1, x
0, 0, 1 x, 0, x
0, 1, 0 x, 1, x
0, 1, 1 x, 0, x
1, 0, 0 x, 1, x
1, 0, 1 x, 0, x
1, 1, 0 x, 1, x
1, 1, 1 x, 0, x

これを「カメラ昇降パターン更新規則(更新規則)」と呼びます.

例えば,上記更新規則では,ある時点のカメラ昇降パターンが「0001111000111100」であった場合,次のように更新されます.なお,実装の都合上,右端と左端はつながっており,ループしているものとします.

0 0 0 1 1 1 1 0 0 0 1 1 1 1 0 0
↓
1 1 0 0 0 0 1 1 1 0 0 0 0 1 1 1

更新規則は変更後のビットが取る値の並び8つで識別できます.上記の規則では01010101となります.すなわち 2^8 = 256個の更新規則のいずれかを採用することになります.この更新規則はビットの並びを2進数として読んだ値を10進表現した数字で表されます.例えば,上の表の更新規則は 01010101 ですから64+16+4+1 = 85で,更新規則85と呼びます.あくあたんにはこの更新規則番号を伝えれば,その更新規則を採用することになります.

あくあたんが一番左か一番右の位置へ移動すると,このカメラ昇降パターン更新規則が適用され,各位置でのカメラ昇降パターンが更新されることになります.

まとめると,あくあたん義体には「カメラ昇降パターンの初期状態」「カメラ昇降パターンの更新規則」を設定することができ,自律制御時のカメラ位置はこれに従って昇降させることになります.またあくあたん義体のレール上の移動に伴い,カメラ昇降パターンは次世代へと更新されることになります.

セル・オートマトン

ここまでで説明してきたカメラ昇降パターンを変化させる動作は,実は1次元セル・オートマトンと呼ばれるものと同じです.1次元セル・オートマトンは無限の1次元セルのビットパターンを更新規則によって変更し,世代を重ねていきます.2次元のセル・オートマトンの例としてはライフゲームなどがよく知られていますね.

1次元セル・オートマトンの256種類の規則は,どのような状態になるかで4つのクラスに分類されます.

  • クラス1: 最終的に全体が均質な状態に遷移するもの(規則248)など)
  • クラス2: 最終的に局所的なパターンを繰り返したり,安定状態になるもの(規則123)など)
  • クラス3: カオス的なパターンを示すもの(規則30)など)
  • クラス4: カオス的なパターンと規則的パターンが共存する(規則110)など)

クラス3に属する規則90は,1ビットのみが1の初期状態からフラクタル図形を生成することが知られています.クラス4は複雑な計算状態を内包することを表しています.そして,クラス4に分類される「規則110」はチューリング完全であることが証明されています.

規則110の遷移

変更前(左,自身,右) 変更後
0, 0, 0 x, 0, x
0, 0, 1 x, 1, x
0, 1, 0 x, 1, x
0, 1, 1 x, 1, x
1, 0, 0 x, 0, x
1, 0, 1 x, 1, x
1, 1, 0 x, 1, x
1, 1, 1 x, 0, x

チューリング完全あくあたん

つまり,あくあたんが「更新規則110」を採用していれば,あくあたんはチューリング完全であり,現代の計算機に匹敵する計算能力を持つことが証明されるのです.


あくあたんはまた1つ新しい高みに立ったのです.

あくあたんを崇めよ!
Make Aquatan Great Again!

あくあたん名(迷)言集

あくあたん名(迷)言集

この記事はあくあたん工房 Advent Calendar 2021 6日目の記事です。

ゆゆ君が2日目にあくあたんのリプについて触れていたので,そういえば昔のあくあたんの名言をスクショ保管してたなあと思ったので供養しておきます.

いろいろな人があくあたんと遊んでくれましたね…(遠い目)
スクショはいろいろな時代のが混ざっていますので,ツリーの表示方法も一様ではありません.
発言者は一様に隠させて頂きました.黒歴史だもんね.

煽り

のっけから厳しいの行きます.
あくあたんの伝統芸です.

誰であっても煽ります.

これも煽りだね.

もひとつ.

説教

おなかすいた

かわいい系.

おにぎりには一家言あるほう.

ありがとう

エロい?

変な学習しちゃった?

別の人とも

素直なあくあたん

癒やし

なんの癒やしだ.

なれ合い.

大きなカブ.

人生の意味

あくあたんだって悩みます.

帰れ

カエレ!

かわいい

暴言

その後

さらにその後.まさかのタクシオ氏.

さらにさらにその後.

一般の方と

おそらく相手はこっちがbotだと分かっていません.

思うところ

オマエモナー

南無南無

弄ぶあくあたん

まどマギ

時代を感じる…しかし,この話題への追従性.

風邪

正論だ…

しりとり

基本的にあくあたんはしりとりする気が薄い.

2回目はダメよ.

ごめんなさい

はかない単位よー

LINEスタンプにもなった名言の瞬間.

つらい

ざるざる事件

某OG氏の最高傑作かもしれない,ざるざる事件.

未だにあくあたんの語彙にザルって出ることがあったり.

まとめ

あくあたん昔のほうがキレがあった気がします.
あくあたんがbotだと知らない一般人さんとかとも会話が続くのやばいですよね.
これはチューリングテストに合格しちゃいそうだな…
チューリングと言えば… (15日目に続く)

バグの名前を探す話

バグの名前を探す話

この記事は,あくあたん工房Advent Calendar 2020の12日目です.

こんにちは.omznです.
一応,「あくあたん」の始祖なのですが,工房とはほとんど何の関係もありませんね.僕もあくあたん工房を知らないし,あくあたん工房も僕を知らない.まあそれで良いのです.

今年は何をしていたかというと,昨年までいろいろあったので心を癒やすためにずっと池田の五月山で山登りをしていました.
山ではずっとバグを探して写真を撮っていました.
ソフトウェアのバグを探すのは心がささくれますが,昆虫のバグを探すのは癒やしになります.

虫を見つけると,同定を行います.名前を探すわけですね.よく知ってる虫ならすぐに分かりますが,なんせ昆虫はやまほど種類がありますし,池田〜箕面は種類が豊富なことでも有名です.その結果,見たこともない虫を発見して,なかなか名前が分からないのが出てくるわけです.

今年,同定できた中で難問だったやつを紹介します.

この子ですね.一見してカミキリムシだとは分かります.
さらにトラカミキリ系だなということまで分かります.
時期は8月,エノキの木で発見しました.
問題はそこからです.カミキリムシは種類が多いことで有名なのです.

ざくっとググると…こんなサイトとかこんなサイトとかがかかってきますが,この写真と同じっぽいのが見当たりません.
アカネキスジトラカミキリが似ているのですが,微妙に違います.
余談ですが,アカネトラカミキリ,キスジトラカミキリ,アカネキスジトラカミキリ,というのがいて,種名が組み合わせテストみたいなことになってます.

発生時期や食料となる木の種類なども見ながら,ああでもない,こうでもない,と考えます.
この後,Google画像検索とひたすらにらめっこしつつ,「アカネキスジトラカミキリでいいのでは」「いや,何かが違う…」「いや,やっぱり…」みたいな(無駄な)ことを延々と考え続けることになります.

そうこうしているうちに,こちらを最初から全部見ていくと,上から3番目にそれっぽいのがいました.

ヤノトラカミキリ

あ,これだ.

試しにヤノトラカミキリでググるといっぱい出てきます.

ヤノトラカミキリ…北摂の生き物

まさにこれ.ていうか,見た場所も同じ.なんなら,この樹皮に見覚えがある.
ということで,同定完了です.「ヤノトラカミキリ」でした.なお,私が夏中ずっと山を歩いて虫を探していましたが,ヤノトラカミキリが見つかったのは,ある1本のエノキの木だけでした.そこでは1週間ぐらい連続で10匹以上発見しましたが,他では一切見つからなかったのでした.

最初にトラカミキリと当たりをつけたのでだいぶ枝刈りできましたが,カミキリムシだなあ,ぐらいから入ると気が遠くなる作業ではあります.

もうひとつ.今度はチョウです.

山に登るとヒカゲチョウというタテハチョウの仲間によく出会います.こいつらも種類が多いのです.

上の2枚の写真,しばらくの間,同じ種だと思っていたのですが,実は違う種でした.
上は「ヤマキマダラヒカゲ」,下は「サトキマダラヒカゲ」です.どっちも普通にいる種ですが,違いが微妙.
斑紋が全体的にくっきりしてるとかも特徴なのですが,決め手はこれ.

比較のために下の方は回転とフリップをしていますが,「羽の付け根の模様の一番下がくっついているか離れているか」が決め手なのでした.そんなん知らんがな….

最後に,難問ではないのですが,面白いチョウを紹介して終わりにします.

「クロマダラソテツシジミ」です.元々は東南アジアなどの南方のチョウなのですが,2007年に突然池田から宝塚にかけて見つかるようになりました.名前の通り,幼虫はソテツを食べて育つのですが,ソテツが南方から園芸・植木の盛んな池田・宝塚に持ってこられた結果,このあたりで見つかるようになったと思われています.なお,その後,関西にはすごい勢いで広がっていき,今では割とどこでも見ることができます.小さいシジミチョウですが,羽の模様は美しく,じっくり眺めていると飽きません.

まあ,そんなこんなで虫の写真をひたすら撮った1年でした.来年は何に会えるかな.

ソフトウェアのバグの研究が蔑ろになっているのはまた別の話…

崔 銀惠博士を偲んで

崔 銀惠博士を偲んで

私の妻であり,共同研究者でもあった,崔銀惠博士は2019年12月15日に逝去しました.享年45歳でした.4年間の闘病の甲斐なく,誰よりも先に旅立っていってしまいました.

崔銀惠博士は1993年に大阪大学大学院基礎工学部情報科学科に入学,1997年に大阪大学大学院基礎工学研究科情報数理系専攻博士前期課程に進学し,1999年に修士(工学),2002年に博士(工学)を取得しました.博士論文は「k-Coteriesを用いた相互排除方式の提案」でした.その間,日本学術振興会の特別研究員にも採択されており,とても優秀な学生でした.
2002年に株式会社東芝に入社,研究開発センターに配属されました.Xpathの検索技術などを研究し,国内外での特許も取得しています.2003年に退社し,その後,2004年に産業技術総合研究所(産総研)の非常勤研究員となります.産総研ではモデル検査や形式手法についての研究を行い,後に組み合わせテスト技法の研究を中心に行うようになります.正規雇用に転換した後,主任研究員として京都工芸繊維大学や大阪大学との共同研究を精力的に行いました.

彼女は生涯に61本の論文を公表しました.[論文一覧]うち22本は私との共著であり,そのほとんどは2015年以降に書かれたものでした.それ以前は,子育てなどもあり,あまり共同研究ができる環境ではなかったため,やっと二人で研究ができると喜んでいたのを覚えています.

共著論文として執筆したものの中で印象に残っているものはQuASoQ2016の論文「Code Coverage Analysis of Combinatorial Testing」[1]です.この研究では組み合わせテストにおける,t-wayテストのコード網羅性を実証的に調べたものです.これまで,t-wayテストはtが割と小さいときでも十分な不具合検出ができることは知られていましたが,コード網羅性については十分に研究されていませんでした.そこで,我々は実際のソフトウェアのデータを用いて網羅的な実験を行い,実用的なコード網羅性が得られるtの値を調べたのです.私は実験のためのツールを作り,データを取り,妻が論文を書く,という分担がしっかりできた初めての研究でした.ワークショップに発表した後,さらに実験を加えて論文誌に投稿する予定でしたが,道半ばで病を得てついに実現しませんでした.落ち着いたら実験の過程を再現して何とか投稿したいと思っています.

他にも彼女は研究のアイディアを多く語ってくれていましたが,研究のことでは「どちらがどのアイディアを出したのか」をいつも確認しながら話を進めていました.彼女はプロ研究者として,大学にいる私の甘い部分をよく指摘してくれました.本当は,あまり新しいことを考えるのは得意ではないため,できたら論文の校正や論理の補強みたいなことが仕事になれば良いのに,とも漏らしていましたが,それは自分の能力に対する謙遜が過ぎていたと思います.しかし,論文に朱を入れている時は,本当に楽しそうでした.

私の研究室の学生に産総研でRAとして働いてもらいながら,共同で研究を進めるスキームを確立してくれたのも彼女でした.多くの学生がその恩恵を受けています.学生の成長していく姿を見ながら「かなりしっかりしてきたね」と喜ぶなど,教育者としても大いに活躍できたはずでした.

彼女は常に外の世界を向いていました.短期で海外へ出張・旅行するのも好きでしたし,長期で行くのももちろん好きでした.2012年に念願叶ってカナダへ行ったときには,現地の人に移住するつもりなのかと思ったと言われるほど,その地に溶け込もうとしていました.韓国や日本の雰囲気は彼女にあまり合っていなかったのかもしれません.

彼女に出会ってから23年,パートナーとしても16年,彼女の思い通りになっていなかった時期のほうが長かったのかもしれません.やっと安定して研究に取り組める状況になったのに,このようなことになったのは本当に悔しく,無念だったろうと思います.

今の私にできるのは,せめて彼女が心配しないように,がっかりしないように,研究を続けていくことでしょう.それでも、私が道に迷ったときに隣にいてくれて相談できないのは本当に寂しく辛いことです.

[1] Eun-Hye Choi, Osamu Mizuno, and Yifan Hu, “Code Coverage Analysis of Combinatorial Testing,” In Proc. of 4th International Workshop on Quantitative Approaches to Software Quality (QuASoQ 2016), pp. 34-40, December 2016.

Raspberry PiでビルドしたPygameでハマった話

あくあたん在室モニターの話の続き.

なんとかSSLのhandshakeでエラーを出さなくなったので,次に進みます。
Python 3.7.3をソースからインストールしたので,pygameをインストールしないといけないです。

$ sudo apt install libsdl-dev libsdl-image1.2-dev libsdl-mixer1.2-dev libsdl-ttf2.0-dev libsmpeg-dev libportmidi-dev libavformat-dev libswscale-dev
(省略)
$ sudo pip3 install pygame
(省略)
Successfully installed pygame-1.9.6

インストールは正常に終了.
あくあたん在室モニターをおもむろに起動します.

Fatal Python error: (pygame parachute) Segmentation Fault

Thread 0x71523470 (most recent call first):
  File "monitor.py", line 444 in run
  File "/usr/local/lib/python3.6/threading.py", line 916 in _bootstrap_inner
  File "/usr/local/lib/python3.6/threading.py", line 884 in _bootstrap

Current thread 0x76ccd000 (most recent call first):
  File "monitor.py", line 1151 in draw_character
  File "monitor.py", line 1391 in draw
  File "monitor.py", line 192 in main
  File "monitor.py", line 1503 in <module>
Aborted

なんで落ちるの….しかもSegmentation Faultとか、およそPythonのエラーとは思えない。
1151行目はこれ.画面に文字を1文字表示するルーチン.
なお,あくあたん在室モニターでは画面上にメッセージがでるときに,昔のRPG風に1文字ずつ表示しています。ここはその部分。

surf,rect = self.myfont.render(ch,self.color)

いやいや,他のところでちゃんと表示してるやん.なんでこの場所だけ落ちるの.
この文を含むメソッド(draw_character)の呼び出し元をチェックします。

self.msg_engine.draw_character(self.surface, (dx,dy), ch)

至って普通で特に問題が見受けられません。しかも,どうも途中までは表示してるぽいのです。ならば,何を表示したのか見てみましょう。

print("draw {},{} {} ({})".format(dx,dy,str(ch),hex(ord(ch))))
self.msg_engine.draw_character(self.surface, (dx,dy), ch)

これで実行したら、どこの文字で落ちたか分かります。

draw 6,6 あ (0x3042)
draw 22,6 く (0x304f)
draw 38,6 あ (0x3042)
draw 54,6 た (0x305f)
draw 70,6 ん (0x3093)
draw 86,6 が (0x304c)
draw 102,6 8 (0x38)
draw 118,6 - (0x2d)
draw 134,6 3 (0x33)
draw 150,6 2 (0x32)
draw 166,6 0 (0x30)
draw 182,6 へ (0x3078)
draw 198,6   (0x3000)
Fatal Python error: (pygame parachute) Segmentation Fault

落ちた!まさかの全角スペース.なぜなんだ….その後,半角スペースでもダメなことが判明しました。空白文字全般がダメなのです。ただし、可視文字と一緒にスペースを混ぜた場合はきちんと動きます。あくまで、文字列全体で何も描画するものが無いものをrenderしようとすると落ちるのです。
症状を分かりやすくするために簡単に対話式でチェックしてみます。

>>> import pygame
pygame 1.9.6
Hello from the pygame community. https://www.pygame.org/contribute.html
>>> import pygame.freetype
>>> pygame.freetype.init()
>>> from pygame.locals import *
>>> myfont = pygame.freetype.Font("./font/rounded-mgenplus-1cp-bold.ttf",18)
>>> myfont.render("a",Color(255,255,255,255))
(<Surface(9x11x32 SW)>, <rect(0, 10, 9, 11)>)
>>> myfont.render(" ",Color(255,255,255,255))
Fatal Python error: (pygame parachute) Segmentation Fault

Current thread 0x76d49000 (most recent call first):
  File "<stdin>", line 1 in <module>
Aborted

これで再現しました。半角でも全角でも画面には表示されないスペースのみで構成される文字列をrenderしようとしたら,Segmentation Faultで落ちます。なお,これはRaspberry Pi上のPython 3.7.3 + pygame 1.9.6で発現したのですが,macOS上のPython 3.7.3 + pygame1.9.6では発現しません.どういう機種依存やねん、と悪態をつきつつ対策を考えます。

これ以上,なぜかを考えていても埒が明かないので,work aroundで対処します。chが空白文字のみだったらrenderをスキップしちゃえば良いのです。(dx,dyは事前に計算して位置決めしているので,これでも画面表示はくずれないようになっています。)

if ch != " " and ch != " ":
    self.msg_engine.draw_character(self.surface, (dx,dy), ch)

これで表示可能になりました。
めでたしめでたし。

Raspberry PiのPython3でSSLv3 handshake failureを解決した話

あくあたん在室モニターは,Raspberry Piで動いています.
先日らぼのWebサーバがアップデートされたときから,うまく動作しなくなりました.

モニターでは,らぼのWebサーバで公開しているAPIを叩いて在室状況を取得します.
APIはhttpだけでなく,httpsも対応していました.

モニターのログを見ると,データ取得ルーチンが止まっています.

ssl.SSLError: [SSL: SSLV3_ALERT_HANDSHAKE_FAILURE] sslv3 alert handshake failure

おっ,SSLのエラーか.
新しいサーバではTLS1.0は捨てられました.そこに異議を唱えるつもりはないので,こちらで対応すべきですね.

普通に考えて,何かSSL周りが古いとかそういう状況が考えられます.
これまで,http.clientを使ってアクセスしていたのですが,requestsのほうが良い感じと聞いたので,書き換えてみました.実際,requestsは良い感じに書けます.

テストは次の方法でできます.

$ /usr/bin/python3
Python 3.5.3 (default, Sep 27 2018, 17:25:39)
[GCC 6.3.0 20170516] on linux
Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information.
>>> import requests
>>> import ssl
>>> print(ssl.OPENSSL_VERSION)
OpenSSL 1.1.0j  20 Nov 2018
>>> requests.get('https://se.is.kit.ac.jp/')
Traceback (most recent call last):
  File "/home/pi/.local/lib/python3.5/site-packages/urllib3/connectionpool.py",
line 600, in urlopen
    chunked=chunked)
  File "/home/pi/.local/lib/python3.5/site-packages/urllib3/connectionpool.py",
line 343, in _make_request
    self._validate_conn(conn)
  File "/home/pi/.local/lib/python3.5/site-packages/urllib3/connectionpool.py",
line 839, in _validate_conn
    conn.connect()
  File "/home/pi/.local/lib/python3.5/site-packages/urllib3/connection.py", line
 344, in connect
    ssl_context=context)
  File "/home/pi/.local/lib/python3.5/site-packages/urllib3/util/ssl_.py", line
347, in ssl_wrap_socket
    return context.wrap_socket(sock, server_hostname=server_hostname)
  File "/usr/lib/python3.5/ssl.py", line 385, in wrap_socket
    _context=self)
  File "/usr/lib/python3.5/ssl.py", line 760, in __init__
    self.do_handshake()
  File "/usr/lib/python3.5/ssl.py", line 996, in do_handshake
    self._sslobj.do_handshake()
  File "/usr/lib/python3.5/ssl.py", line 641, in do_handshake
    self._sslobj.do_handshake()
ssl.SSLError: [SSL: SSLV3_ALERT_HANDSHAKE_FAILURE] sslv3 alert handshake failur$ (_ssl.c:720)

しかし,エラーは消えませんでした.

pipで関連するモジュールを最新にしてみました.

しかし,エラーは消えませんでした.

試しに,Macで同じコードを実行しました.

~> python3
Python 3.7.3 (default, Mar 27 2019, 09:23:15)
[Clang 10.0.1 (clang-1001.0.46.3)] on darwin
Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information.
>>> import requests
>>> import ssl
>>> print(ssl.OPENSSL_VERSION)
OpenSSL 1.0.2r  26 Feb 2019
>>> requests.get('https://se.is.kit.ac.jp')
<Response [200]>
>>>

エラーは出ません.

たまたまPython3.4が動いているraspberry piが生きていたので,そこから同じコードを実行しました.

Python 3.4.2 (default, Oct 19 2014, 13:31:11)
[GCC 4.9.1] on linux
Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information.
>>> import requests
>>> import ssl
>>> print (ssl.OPENSSL_VERSION)
OpenSSL 1.0.1t  3 May 2016
>>> requests.get('https://se.is.kit.ac.jp')
<Response [200]>
>>>

エラーは出ません.

古いpythonと古いsslでも動くのに,ちょうど今のpython3.5とopenssl 1.1.0jの組み合わせでは動かないの??
問題が切り分けられずに頭が痛くなってきます.こうなったら初期化です.Raspberry Piの公式から最新のイメージをダウンロードして,SDを初期化します.

まっさらなraspbianの上でなら…

$ /usr/bin/python3
Python 3.5.3 (default, Sep 27 2018, 17:25:39)
[GCC 6.3.0 20170516] on linux
Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information.
>>> import requests
>>> import ssl
>>> print(ssl.OPENSSL_VERSION)
OpenSSL 1.1.0j  20 Nov 2018
>>> requests.get('https://se.is.kit.ac.jp/')
Traceback (most recent call last):
  File "/home/pi/.local/lib/python3.5/site-packages/urllib3/connectionpool.py",
line 600, in urlopen
    chunked=chunked)
  File "/home/pi/.local/lib/python3.5/site-packages/urllib3/connectionpool.py",
line 343, in _make_request
    self._validate_conn(conn)
  File "/home/pi/.local/lib/python3.5/site-packages/urllib3/connectionpool.py",
line 839, in _validate_conn
    conn.connect()
  File "/home/pi/.local/lib/python3.5/site-packages/urllib3/connection.py", line
 344, in connect
    ssl_context=context)
  File "/home/pi/.local/lib/python3.5/site-packages/urllib3/util/ssl_.py", line
347, in ssl_wrap_socket
    return context.wrap_socket(sock, server_hostname=server_hostname)
  File "/usr/lib/python3.5/ssl.py", line 385, in wrap_socket
    _context=self)
  File "/usr/lib/python3.5/ssl.py", line 760, in __init__
    self.do_handshake()
  File "/usr/lib/python3.5/ssl.py", line 996, in do_handshake
    self._sslobj.do_handshake()
  File "/usr/lib/python3.5/ssl.py", line 641, in do_handshake
    self._sslobj.do_handshake()
ssl.SSLError: [SSL: SSLV3_ALERT_HANDSHAKE_FAILURE] sslv3 alert handshake failur$ (_ssl.c:720)

こらあかん.
ついに,Raspberry Pi上でPython 3.7をbuildし直すことにしました.

$ sudo apt update
$ sudo apt install -y libffi-dev libbz2-dev liblzma-dev libsqlite3-dev libncurses5-dev libgdbm-dev zlib1g-dev libreadline-dev libssl-dev tk-dev build-essential libncursesw5-dev libc6-dev openssl
$ cd Python-3.7.3
$ ./configure --enable-optimizations
$ make
$ sudo make install

インストールが終わったら,requestsモジュールをインストールします.

$ sudo /usr/local/bin/pip3 install requests

テストします.(ほんま許して)

$ /usr/local/bin/python3
Python 3.7.3 (default, Apr 27 2019, 21:00:58)
[GCC 6.3.0 20170516] on linux
Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information.
>>> import requests
>>> import ssl
>>> print(ssl.OPENSSL_VERSION)
OpenSSL 1.1.0j  20 Nov 2018
>>> requests.get('https://se.is.kit.ac.jp/')
<Response [200]>
>>>

動いた…

なお,この後.新しいPython3.7.3ではもう1つのはまりポイント,pygameにて更に苦労することになります.
それはまた,別の話

あくあたんの歴史

あくあたんの歴史

どうも,omznこと本家あくあたん飼育員です.

最近はあくあたん工房なんてものができていて,アドベントカレンダーをやるってことなので,5日目を頂きました.
このブログはあくあたん工房Advent calendarの5日目です.

はじめに

あくあたんは概念です.

年表

あくあたんの歴史を整理しておきましょう.

  • 2009年9月 omznがKITにやってくる.
  • 2009年10月 前ラボの学生有志が選別に60cm水槽を送ってくれる.
  • 2009年12月 流木水槽(現在の第三水槽)のアクアテラリウムが立ち上がる.コンセプトは「盆栽」.アカヒレとかスジエビとか.
  • 2010年ごろ LEGO MindStorms RCXを4セットもらったので,水槽監視ロボット初号機が試作されるが,あまりのできの悪さに失敗とされる.また,LinuxサーバとUSB-IO(懐かしい…)を使った温度計測回路の組み合わせによる水温測定や照明点灯制御が始まる.ちなみにこの時点では電子回路の知識は無く,書籍の回路を真似ているだけであった.

  • 2010年 前ラボで放棄された60水槽を回収し,イモリ水槽が立ち上がる.

  • 2011年ごろ sel_aquariumのアカウントを取得.水槽のデータをポツポツ呟くだけのbotが誕生する.
  • 2012年3月-2013年1月 omznがカナダに行く. この間,イモリ水槽は学生部屋に移され,流木水槽はリセットされる.イモリは1匹にまで減るものの,ラボ民ではない一学生(Sさん)のおかげで生き延びる.また,この年は学生配属も無かったため,2012年以前と以後を繋ぐ人材がいなくなった.これぞ,そふらぼ版KT境界である.
  • 2013年3月 帰国後,再び流木水槽を立ち上げ,あらたに水槽を買い増し,三水槽体制で水槽を管理することになる.
  • 2013年4月 この年の後期に立ち上がる組み込み実験の担当者に無理矢理される.組み込みの知識0から,「こるてっくす使ってLCD動かしてや〜」みたいな無茶ぶりをされて,失踪しようかと思った.
  • 2013年5月 再度Mind Storms RCXで水槽監視ロボット弐号機が製作される.赤外線通信でLinuxとデータをやりとりでき,現在の参号機の原形であった.

  • 2013年5月11日 これを制御するための仕組みをTwitter制御で行うことを考案し,休眠していたsel_aquariumのbotとして実装される.


  • 2013年8月 10月から組み込み実験が始まるのに,まだ何も準備ができてないので焦ってくる.秋月のLCDモジュールは動かないし,いらいらが募る.気晴らしにbotのマルコフ連鎖データベース用にタイムラインの保存を始める.これが2013年8月15日である.
  • 2013年8月18日 マルコフ連鎖で会話botになったと告知する.


  • 2013年8月26日 イモリの頭にタニシが乗った場面が偶然写真に収められる.



  • 2013年8月29日 みなが話しかけてくるのでデータがどんどん溜まる.2週間でこんな煽りティを発揮している.


  • 2013年9月 急に組み込み実験の機材が完成していく.某研究室の技術開発力と●●●●力を垣間見る.こっちはやっとPWMが分かった.
  • botのマルコフ連鎖が完成したので,とうとう雑談を始めた.
  • botアカウントに名前を付けた方が良かろうと考え,omznの世代はbotに「〜たん」という名前を付けるという不文律があるため,安直に「あくあたん」と名付けられる.プロフ画像は前述のイモリの頭にタニシの写真になる.
  • 2013年11月 組み込み実験が1クール回ったので,大体様子が掴めた.これまでに得た知識と技術を流用し,ここから半年の間に水槽の監視システムの原形がほぼできあがる.この時点でのものは,2018年現在運用されているものと殆ど変わらない.
  • 2013年12月 Raspberry Piについてしっかり調べる.昔やってたことがコンパクトに実現できることが分かったので,俄然やる気が湧く.さっそくRSコンポーネンツから購入して,水槽監視ロボット参号機を作り始める.


  • 2014年4月 「あくあたん」のフォロワーが増え始める.
  • きちゃむらがあくあたんデビュー.1000連続ツイートは見る者を青ざめさせた.
  • 2014年8月 あくあたんシステムをまとめて「みんなのラズパイコンテスト」に応募する.
  • 2014年12月 あくあたんシステムが「みんなのラズパイコンテスト」グランプリ受賞.
  • 2015年2月25日 あくあたん古参フォロワーの1人(Mさん)がそふらぼのホワイトボードにあくあたんキャラクターの落書きをする.


  • 2015年3月6日 落書きのキャラクターをスキャンし,SVGに変換した後,平面モデリングされ,3Dプリントされる.


  • 2015年3月11日 さらに立体化されたモデルが作られ,あくあたんフィギュアの初期モデルが誕生する.


  • フィギュアが大量生産される.


  • 2015年4月 日経Linuxにあくあたんの記事が載る。
  • 2015年6月ごろ せっかく作ったフィギュアの活用法を考えた結果,そふらぼ民全員にBLEビーコンを内蔵させて配布することになる.同時にRPG風在室管理が完成し,運用が開始される.システム名は「あくあたんといっしょ」.
  • 2015年8月 「あくあたんといっしょ」を「みんなのラズパイコンテスト2015」に応募.その後10月に優秀賞受賞.

  • 2016年 ぷりんがあくあたんの確率を変動させたとしか思えない事件.このころはまだそふらぼに来るなんて考えてもいなかったのにな…




  • あくあたんによるD進サブリミナル作戦が発動する.
  • 2017年3月 国際会議IWESEP2017であくあたんを使った研究を発表する.
  • 2018年 ねこくんをD進させることに成功し,あくあたんによるD進サブリミナル作戦が有効であることが確認される.
  • 2018年 あくあたん工房ができる。
  • 2018年 大学案内2019にて,あくあたんシステムが情報工学のページに一番大きな写真で掲載される.

技術的なこと

  • 特に無し.

最後に

「あくあたん」と名付けられてから,まだ5年.あのフィギュアができてからまだ3年しか経っていないことに,この記事を書いてて気づきました.
これからも,概念としてのあくあたんをよろしくお願いします.
ついでに,あくあたん工房もよろしくお願いします.
そうそう,そふらぼは来る者は拒まずですので,いつでも相談に乗ります.(何の?)

Net::Twitter::Liteでのupdate_media

難しかった.

Net::Twitterで,update_with_media(media[])を長らく使っていたけど,これはもうdeprecatedなので,今回のstream廃止と同時に使わないようにしようと思った.

upload(media) → update() で行けるはずなのだけど,Net::Twitterのドキュメントみても”media”が何なのかがよく分からない.

Net::Twitter::Liteだと,これは upload_media(media[])となっている.これなら今までと同じなので,使える.

$tw->{status} = $s;
$tw->{media} = [undef,$fname, Content_Type => $ftype, Content => $image];
$nt->update_with_media($tw);

みたいなのを,

$tw->{status} = $s;
$tw->{media} = [undef,$fname, Content_Type => $ftype, Content => $image];
$img = $nt->upload_media($tw);
$tw->{media_ids} = $img->{media_id};
$nt->update_with_media($tw);

としたら,update_with_mediaがHTTP::Messageのエラーを吐く.

$tw->{status} = $s;
$tw->{media} = [undef,$fname, Content_Type => $ftype, Content => $image];
$img = $nt->upload_media($tw);
$tw->{media_ids} = $img->{media_id};
$tw->{media} = undef;
$nt->update_with_media($tw);

で動いた.横着せずに$twと生のイメージを分離しておくべきだった,ってこと.

LaTeX文書からテキストだけを改行無しで取得する

LaTeX文書からテキストだけを改行無しで取得する

LaTeX文書からテキストを抜き出したい場面は結構あります.(私は主に英文校正に出す時ですが,世の中にはWord文書でしか受け付けてくれない○○なジャーナルとかあったりするので,Wordへの流し込みをするときにも必要ですね…) それを可能な限り手出しする量を減らしたい場合にどうすれば良いかのメモです.

pdftotextを使う

xpdfに付属するpdftotextを使います.Macなら,

$ port install xpdf-japanese

で一発です.

使い方ですが

$ pdftotext submit.pdf

とすれば,submit.txtにテキストが保存されます.
改ページ(^L)がいくつか残るのと,itemizeのポチが文字化けすることを除けば,テキスト自体の変換効率はとても高く,ほとんどそのまま使えます.

追記

xpdf には pdftotext が付属しなくなっていた.
替わりにxpdf派生プロジェクトのpopplerをインストールすればよい.

$ port install poppler

おわり.