本研究では,バージョン管理システムにおいて開発者がバグを出したコミット(以 下,バグ混入コミット)により変更されたソースコードに対してトピック分析をかけ ることにより,特定の開発者のバグ混入傾向を分析する.将来的には,抽出されたバ グ傾向を開発者本人に提示することで,バグの改善に役立てることを目指す. 一般的に,開発者はプログラム理解のためにソースコードの識別子にプログラムの内 容や機能に関するキーワードを埋め込むため,ソースコードから識別子を取り出しそ れらにトピック分析を適用すれば,プログラムに潜在するトピックが推定可能である. 本研究では,これの対象をバグ混入コミットで変更されたソースコードに限定する. 適用実験には,GitHub で公開されている Java ネットワークアプリケーションフレーム ワーク「Apache MINA」と,オープンソースソフトウェアのコミニティ「ObjectStyle」 によって提供されている O/R マッピングフレームワーク「Cayenne」の二つを用いる. 実験の結果,開発者によって程度の差はあるものの,特定のプログラムの機能に属す るトピックをバグ混入コミットから抽出することが出来た.また,開発者個人のバグ 混入コミットとバグ非混入コミットから抽出されたトピックの違いを分析することで, その開発者がバグを混入する状況の分析が可能となった.