Thesis
techreport
ソースコードコメントに着目した不確かさとソフトウェア品質の関係調査
  • February 2022
  • 卒業研究報告書, 京都工芸繊維大学 /
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Abstract

ソフトウェア開発中には「不確かさ」と呼ばれる問題がある.不確かさの例としては,開発者の知識不足により,既存プロジェクトのソースコードを十分に理解出来ない,バグの修正方法など実装が正しいか分からないといった問題がある.また,開発の初期段階に発生しやすい曖昧な要求,定まっていない設計など曖昧さによる問題も挙げられる.このような不確かさは,開発者にとって扱いにくいものであるため,開発者は直面した問題に対して一時的な措置をとる場合があり,その結果バグの混入や,ソースコードの煩雑化を招く可能性がある.そのため,近年,不確かさを包容したソフトウェア開発は重要な研究課題として注目されている.ソフトウェア開発において開発者が直面する不確かさについて実証研究があるが,その数は少ない.例えば,不確かさによるソースコードの煩雑化は,ソフトウェアの品質や保守性に影響を与えている可能性があるが,この実証研究はまだ行われていない.そこで,本研究では,ソースコードコメントに存在する不確かさに着目し,不確かさによってソフトウェア品質にどのような影響があるかを調査した.具体的には,まず,ソースコードや設計に問題がある可能性を示す指標であるコードスメルに注目し,不確かさを表すキーワードをコメントに持つソースコードは多くのコードスメルが含まれているか調査した.次に,ソースコードの品質メトリクスとして利用される複雑度と結合度を用いて,不確かさを表すキーワードをコメントに持つソースコードは品質が低いか調査した.調査の結果,不確かさはコードスメルの数への影響は見られないが,不確かさの影響を受けやすいコードスメルがあることがわかった.また,不確かさがあることで,C/C++,Python では複雑度が高く,C++,Python では結合度が高くなることがわかった.一方,Java では不確かさを持たない方が,結合度は有意に高くなる結果となり,予想していた結果とは逆の結果が得られた. この結果は,ソフトウェア品質が不確かさによる悪影響を受けるかどうかは,プログラミング言語によって異なることを示唆している.
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