本研究ではある企業におけるレビュープロセス改善活動の効果について統計的分析を行う.この企業では1995年よりソフトウェアプロセスグループ(SEPG)を中心にこの改善活動が進められてきており,分析に当たっては23件のプロジェクトから収集されたデータを用いる.まず,各プロジェクトにおいてレビュー作業工数の全体工数に対する比率に注目して,開発組織がSEPGからのプロセス改善の指示をどの程度忠実に実施できたかを分析する.次に,レビュープロセス改善の品質への影響について調べる.その結果,プロセス改善を忠実に実施できた組織とそうでない組織の間ではレビュー作業で検出するフォールト数に有意水準5%の検定で差があることが示された.更に,出荷後のいわゆるフィールド品質についても相当の改善が見られることが確認できた.