Osamu Mizuno,Yasunari Takagi,Tohru Kikuno
ソフトウェア開発プロジェクトでは多くのリスク要因が複雑に関係して問題が発生することが知られている [1].実際に,プロジェクトの状況が把握できなくなって, プロジェクト管理が混乱することが少なくない [4].そ のため,プロジェクトの混乱を予測する手法の開発が強 く求められているが,人間の知的作業を相手にするので その開発はきわめて難しい.本研究ではアンケートから 得られるデータを統計的に処理して,プロジェクトの混 乱予測に利用することを目指す.
水野 修,高木 徳生,菊野 亨
Osamu Mizuno,Yasunari Takagi,Tohru Kikuno
FIT2003 情報科学技術フォーラム 情報技術レターズ (Information Technology Letters)
406
9
江別市, 北海道
(社) 情報処理学会, (社) 電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ
45-46
2
(社) 情報処理学会
アンケート回答方式によるソフトウェアプロジェクトの混乱予測 --- 因子分析によるアンケート項目の集約 ---
2
2003
Osamu Mizuno,Sousuke Amasaki, Futoshi Yamanouchi, Tohru Kikuno, Yasunari Takagi
ソフトウェア開発の現場では,プロジェクトが混乱状態に陥らないようにあら
かじめ問題要因を探り,混乱の可能性を早期に予測することが望まれている.
これまでに,プロジェクトマネージャに対してアンケートを実施することによ
り問題要因を特定し,混乱という事象に対処するために問題要因のパラメータ
の値に回帰モデルやクラスタ分析を適用して混乱を推定する手法の提案をして
きた.しかし,プロジェクトの早期段階でパラメータの値が全て判明している
ことはまれであり,それが原因となってプロジェクトの早期段階での上記モデ
ルの適用は困難であった.
本研究ではソフトウェア開発プロジェクトが混乱するかどうかを,前もって収
集されているリスク要因の分析結果も利用して予測するモデルの提案を行う.
そのために,ベイジアンネットを用いた混乱予測モデルを作成する.ベ
イジアンネットを用いることにより,一部のパラメータの値が不明で
あっても事前に与えられた確率分布を利用して混乱の確率を算出できるよう
になる.次に,実際のソフトウェア開発現場から収集したデータを適用し,評
価実験を行う.実験の結果,プロジェクトの早期段階でも非常に高い精度で
混乱予測が可能となることを確認した.
水野修,天嵜聡介,山之内太,菊野亨,高木徳生
ソフトウェアシンポジウム2003論文集
384
7
弘前
ソフトウェア技術者協会
193-199
2
混乱プロジェクトの予測へのベイジアンネットの適用
2003
Takanari Hamasaki,Osamu Mizuno,Tohru Kikuno,Yasunari Takagi
本報告では, リスク管理のために開発したプロジェクト 質問表の回答のクラスタ分析, 及びソフトウェア開発プ ロジェクトのクラスタ分析を用いた混乱予測について述 べる.
ソフトウェアの開発現場では, プロジェクト管理の重要 性が益々高まってきている. 特にプロジェクトが混乱す るか否かを早い段階で発見することが求められている. 我々は, ある企業の協力を得て, ソフトウェア開発プロ ジェクトのマネージャからのリスク調査アンケート結果 に対してロジスティック回帰分析を行い, プロジェクト が混乱するかどうかの予測を行う手法を提案してきた.
しかし, 従来の手法ではアンケート項目の一部のみがモ デルのパラメータとして利用されるため, ある特定のリ スク要因のみが混乱プロジェクトを決定していた. その ため, 多くのアンケート項目を活かして, しかも現場に適 用可能な手法の開発が強く求められていた.
そこで, 本研究では全てのアンケート項目を利用しなが らプロジェクトの混乱予測を行う手法の開発を目指す. まずリスク調査アンケートの結果にクラスタ分析を適用 することで, プロジェクトを成功プロジェクトと混乱プ ロジェクトに分類できることを示す. 次に, クラスタ分析 による分類を利用して, 新規プロジェクトの混乱予測を 行う手法を提案する. 実際のプロジェクトデータを用い た適用実験の結果, 実験対象のプロジェクト全てを提案 法で正しく予測できることを確認した.
濱崎 考成,水野 修,菊野 亨,高木 徳生
Takanari Hamasaki,Osamu Mizuno,Tohru Kikuno,Yasunari Takagi
ソフトウェアシンポジウム2002論文集
269
7
松江
159-166
2
リスク管理のためのアンケート回答のクラスタ分析と混乱プロジェクト発見への応用
2002
Takuya Adachi,Osamu Mizuno,Tohru Kikuno,Yasunari Takagi
本報告では,ソフトウェアプロジェクトに対するリス ク調査アンケートに基づいた開発コスト誤差,開発期間 誤差 (ここでは見積値と実績値の差を誤差と呼んでいる) の予測式の作成と分析について述べる.これまでに,あ る企業より提供されたリスク調査アンケートデータを 基にしたプロジェクトの混乱予測の研究を行ってきてい る.そこでは現場のプロジェクトマネージャに混乱要因 に関するアンケートを配布・回収し,そのデータを利用 してプロジェクトが混乱するか否かを統計的に予測して きた.この手法が高い精度で混乱予測に役立つことは確 認された.
本研究では具体的なメトリクスである開発コスト誤差 と期間誤差を予測する式の作成を行う.これらの予測を 利用することで従来の混乱予測がより強化できるものと 考えている.具体的には,アンケートデータを使った重 回帰分析を行って予測式を作成する.次に,予測式を利 用してコストと期間誤差の予測値を算出し,順位相関に 基づく評価を行う.最後に,こうして求めたコストと期 間誤差の値に基づいてプロジェクトの混乱予測を行う試 みについても議論する.
足立 卓也,水野 修,菊野 亨,高木 徳生
Takuya Adachi,Osamu Mizuno,Tohru Kikuno,Yasunari Takagi
ソフトウェアシンポジウム2001論文集
268
6
高知
109-115
2
リスク調査に基づくコストと期間の誤差予測とその統計的分析
2001
Takuya Adachi,Osamu Mizuno,Tohru Kikuno,Yasunari Takagi,Keishi Sakamoto
本報告では,開発中のプロジェクトの混乱予測をロジス ティック回帰分析に基づいて行う試みについて述べる.ソ フト ウェアの開発現場では ,開発初期の段階でプ ロジェ クトが混乱するかど うかを予測できることが望ましい. 多くの場合,プ ロジェクト マネージャは 経験からそ うし た混乱要因がある程度分かっている.我々はプ ロジェク ト マネージャに対するアンケートを行い,その集計結果 に基づいてプロジェクトの混乱を予測する手法の開発を 進めてきた.ここではこの手法を実際に開発現場に導入 することを目指して,開発初期の時点でアンケー トを行うことを試みる.まず,そのためのアンケート 調 査表の作成を行った.引き続いて,実際のプ ロジェクト データを利用した適用実験を行い,得られた予測結果に ついて評価した.さらに,この手法の開発現場への導入 を容易にするための支援システムの試作についても述 べる.
足立 卓也,水野 修,菊野 亨,高木 徳生,坂本 啓司
Takuya Adachi,Osamu Mizuno,Tohru Kikuno,Yasunari Takagi,Keishi Sakamoto
ソフトウェアシンポジウム2000論文集
266
6
金沢
146-153
2
アンケート調査に基づく開発中のプロジェクトの混乱予測とその予測作業支援システムの開発
2000
Osamu Mizuno, Tohru Kikuno, Katsumi Inagaki, Yasunari Takagi, Keishi Sakamoto
本研究では,プロジェクトデータの分析に採用するコスト予測精度に関する分類
基準と,その分類で使用するしきい値について統計的仮説検定を用いて考察する.
まず,分類基準に関しては,コストの見積り誤差がマイナス方向に大きくふれた
プロジェクト(例えば,見積りよりも20\%少ないコストで終了したプロジェクト)
を成功プロジェクトと混乱プロジェクトのいずれとみるかの分類基準について議
論する.統計的仮説検定の結果,そうしたプロジェクトを混乱プロジェクトとす
ることの妥当性が確認できた.
次に,分類のしきい値については,幾つかの代表的なしきい値について実際にク
ラス分けをして,統計的仮説検定を行った.その分析の結果,$\pm10\%$をしき
い値として成功プロジェクトと混乱プロジェクトに分けるという開発現場で利用
されている基準値の妥当性が確認できた.
なお,これらの妥当性の確認はあくまでも今回の分析の対象としたプロジェクト
においてできたことであって,現時点では必ずしも一般化できる状況にはない.
水野修,菊野亨,稲垣勝巳,高木徳生,坂本啓司
ソフトウェアシンポジウム'98論文集
264
6
大阪
77-82
2
コスト見積り誤差評価の統計的仮説検定を用いた考察
1998
Sousuke Amasaki, Takashi Yoshitomi, Osamu Mizuno, Tohru Kikuno, Yasunari Takagi
天嵜聡介,吉富隆,水野修,菊野亨,高木徳生
電子情報通信学会技術研究報告
261
5
63, SS2002-6
31-36
3
ソフトウェア開発における不具合発見履歴と最終品質の関係に対する統計的分析
102
2002
Takuya Adachi,Osamu Mizuno,Tohru Kikuno,Yasunari Takagi
本研究ではリスク調査アンケート結果に対して因子分析を行い,そこで抽出された因子に基づく開発コストを推定する手法について述べる.ソフトウェア開発プロジェクトに対するリスク調査アンケートの項目には,直接的には開発コストに対して統計的に有意な関係はみられないが,他の項目に対して影響を与えているものが存在する.従来の回帰モデルによるコスト推定手法ではこうした項目を除外してしまうため,その影響を考慮に入れることができなかった.本研究で新しく提案する手法では,因子分析によってアンケート項目の再編成を行い,23個の質問項目をいくつかの因子に集約する.更に,得られる因子スコアを利用してコストに対する回帰式を作成する.適用実験の結果,多くのリスク要因を含むコスト予測が行えることを確認した.
足立卓也,水野修,菊野亨,高木徳生
Takuya Adachi,Osamu Mizuno,Tohru Kikuno,Yasunari Takagi
電子情報通信学会技術研究報告
260
1
629, SS2001-36
17-24
3
プロジェクトマネージャへのアンケートに対する因子分析に基づいたソフトウェア開発コスト推定モデルの提案
A New Cost Estimation Model refined by Factor Analysis based on Risk Questionnaire to Project Managers
101
2002
Eijiro Shigematsu,Osamu Mizuno,Tohru Kikuno,Yasunari Takagi
本研究では,ソフトウェアの最終的な品質をある一定の許容値以内に収めるために必要となるテスト工数の基準値を定める手法を提案する.これまでに,ある企業の開発プロジェクトを対象として,設計工数とレビュー工数の2つの工数の配分比が最終品質に与える影響の分析を行ってきた.しかし,設計工数とテスト工数の配分が最終品質に与える影響については十分に議論してきていない.そこで本報告では最終品質をある許容値以内に収めるために必要なテスト工数を求めることを目指す.提案法では,まず各工程に対する工数配分とフィールド不具合数の関係をモデル化した重回帰式を作成し,テスト工数を得るための式を導出する.そして,その式に対してフィールド不具合数の許容値,設計工数,レビュー工数を定めることで,品質を保証するために最低限必要なテスト工数の基準値を算出する.実際のプロジェクトデータを用いた適用実験の結果,提案法で求めた基準値以上のテスト工数があれば最終品質を保証できることを確認した.
重松英二郎,水野修,菊野亨,高木徳生
Eijiro Shigematsu,Osamu Mizuno,Tohru Kikuno,Yasunari Takagi
電子情報通信学会技術研究報告
259
1
629, SS2001-35
9-15
3
フィールド不具合数を許容値以下に抑えるためのソフトウェアテスト工数の推定モデルの提案
Estimation of Software Testing Effort to Assure Permissible Number of Field Defects
101
2002
Kazuhiro Kanemura,Osamu Mizuno,Tohru Kikuno,Yasunari Takagi,Keishi Sakamoto
本研究では,ある企業におけるソフトウェア開発におけるレビュー作業の質がソフトウェアの最終品質に与える影響を分析する.レビュー作業の質を単位レビュー工数当たりに発見,除去された不具合の総数で測ることにし,メトリクスQLY_γで表す.一方,ソフトウェアの最終品質を出荷後6ヶ月間に発見された不具合の総数で測ることにし,メトリクスSum_fで表す.まず,メトリクスSum_fの値が0とそうでないプロジェクトの間でメトリクスQLY_γの値に有意な差があることを順位和検定で示す.次に,メトリクスQLY_γの値に基づいてメトリクスSum_fの値が0になるかどうかを推定するためのロジスティック回帰モデルを構成する.更に,実際のプロジェクトデータを利用した適用実験でこの回帰モデルの有効性を示した.
金村一弘,水野修,菊野亨,高木徳生,坂本啓司
Kazuhiro Kanemura,Osamu Mizuno,Tohru Kikuno,Yasunari Takagi,Keishi Sakamoto
電子情報通信学会技術研究報告
256
3
682-683, SS99-69
1-7
3
レビュー作業の質に着目したソフトウェア最終品質の推定
Studies on the Effects of Review Efficiency on Field Quality of Software Product
99
2000
Osamu Mizuno, Toshiki Niki, Naoki Niihara, Yasunari Takagi, Tohru Kikuno
本研究ではある企業におけるレビュープロセス改善活動の効果について統計的分析を行う.この企業では1995年よりソフトウェアプロセスグループ(SEPG)を中心にこの改善活動が進められてきており,分析に当たっては23件のプロジェクトから収集されたデータを用いる.まず,各プロジェクトにおいてレビュー作業工数の全体工数に対する比率に注目して,開発組織がSEPGからのプロセス改善の指示をどの程度忠実に実施できたかを分析する.次に,レビュープロセス改善の品質への影響について調べる.その結果,プロセス改善を忠実に実施できた組織とそうでない組織の間ではレビュー作業で検出するフォールト数に有意水準5%の検定で差があることが示された.更に,出荷後のいわゆるフィールド品質についても相当の改善が見られることが確認できた.
水野修,二木俊樹,新原直樹,高木徳生,菊野亨
電子情報通信学会技術研究報告
251
9
294-295, SS98-26
1-8
3
ある企業におけるソフトウェアプロセス改善の効果に対する統計的分析
Effectiveness Analysis of Review Process Improvement for Embedded Software System Development at Certain Company
98
1998
Katsumi Inagaki, Yasunari Takagi, Keishi Sakamoto, Osamu Mizuno, Tohru Kikuno
本研究ではソフトウェアプロジェクトのための開発計画の良さ(コスト予測の精度の高さ)が出荷後のソフトウェアの品質(フィ-ルド品質)と開発チ-ムの生産性に及ぼす影響について,31件の実際のプロジェクトから収集したデ-タを用いて分析する.得られた主な結論は次の通りである.(1)開発計画が標準手順に準拠している度合と,実際に計画通りに実行される度合が高いほどその計画のコスト予測の精度が上がる.(2)コスト予測の精度が10%未満のプロジェクトとそれが10%以上のプロジェクトではフィ-ルド品質とチ-ム生産性のいずれも有意的な差がある(有意水準5%の統計的仮説検定より).
稲垣 勝巳,高木 徳生,坂本 啓司,水野 修,菊野 亨
電子情報通信学会技術研究報告
250
9
260-261, SS97-27
15-22
3
ソフトウェア開発プロジェクトにおける開発計画の分析 -- 品質,生産性との関連性 --
Effects of Cost Estimation Accuracy on Quality and Productivity
97
1997